デッキ材の上面から根太へビスを打つ「脳天打ち」は、もっとも安く、速く、失敗の少ない留め方です。人工木の専用クリップ(留め金具・隠し留め具)は、デッキ材の側面の溝で押さえるためビスの頭が見えず、すっきりした床面に仕上がりますが、部材代と手間が増えます。どちらが合うかは、購入するデッキ材が何を前提に作られているか、見た目をどこまで重視するか、そして作業時間で決まります。
日本にはデッキ材の留め方を定めた国の基準は見当たらず、留め方は根太ピッチと同じく製品ごとの施工説明書で指定されています。このガイドでは、それぞれの方式の仕組みと国内の販売店・メーカーの説明を紹介し、実際のデッキで数量を計算します。
それぞれの方式の仕組み
脳天打ち(表面からのビス留め)
天然木のデッキ材では、デッキ材が根太と交わる位置ごとにビスを打つのが基本です。リーベの施工ガイドでは、ステンレスのコーススレッドを使い、皿取錐で下穴をあけてから打つこと、ハードウッドでは必ず下穴をあけることを勧めています。皿取錐の長さの目安は、厚さ20 mmのデッキ材で40 mm、30 mmで60 mmです(リーベ:ウッドデッキの張り方 床と幕板)。交点1か所につき2本で留めるのが一般的で、当サイトの計算ツールもこの前提で数えます。
ビスの頭が見えるのが欠点ですが、皿取りしてデッキ材の面より少し沈めれば、足に引っかかりにくく、ビスの列をそろえれば見た目も整います。
専用クリップ(隠し留め具)
人工木のデッキ材の多くは、長辺の両側に溝が加工されています。クリップを2枚のデッキ材の間に差し込んで両側の溝にかけ、根太にビスで留めます。1つのクリップで隣り合う2枚を同時に押さえるため、必要な数は交点1か所につきビス2本ではなく、ほぼクリップ1個です。
たとえばリーベのルチアウッドは、留め金具を使った「間接ビス止め工法」を採用しており、留め金具(15 × 20 × 30 mm)とステンレスビス(φ3.5 × 30 mm)が50個入りのセットで販売されています(リーベ プロ:ルチアウッド)。
ただし、デッキの両端の板にはクリップが使えません。RESTAの施工方法では、張り始めの1枚目と張り終わりの1枚は根太に直接ビス留め(脳天ビス留め)し、それ以外の目地に留め具を使うと説明しています(RESTA:人工木ウッドデッキの施工方法)。クリップのデッキでも、ビスはいくらか必要です。
側面からの斜め打ち
溝のないデッキ材の側面から根太へ斜めにビスを打ち、頭をすき間に隠す専用ガイド付きのシステムも海外では普及しています。国内では一般的ではないため、使う場合はデッキ材メーカーがその方法を認めているか確認してください。
まずデッキ材との相性を確認する
費用を比べる前に、お使いのデッキ材でどの方法が使えるかを確認しましょう。価格以上にこれで決まります。
- 溝付きの人工木デッキ材は専用クリップを前提に作られています。クリップは製品ごとに専用品が指定されていることが多く、他社品を使うと保証の対象外になることがあります。
- 杉の防腐注入材、米杉、ウリンなどの天然木は溝がないため、脳天打ちが基本です。ウリンなどのハードウッドは非常に硬いため、下穴なしで打つとビスが折れたり材が割れたりします。
- 防腐注入材は乾燥とともに縮みます。 すき間の取り方への影響は防腐処理材のガイドで解説しています。
- 階段や外周の板。 階段の踏み板や幕板まわりは、クリップが使えず脳天打ちになることがよくあります。必ず施工説明書を確認してください。踏み板の割り付けはデッキ階段のガイドで解説しています。
留め具の数を数える:計算例
3.6 × 2.7 mの独立型デッキで、根太を3.6 mの方向に400 mmピッチで並べ、デッキ材を根太と直交させて3.6 mの方向に張る場合を考えます。
根太。 3,600 ÷ 400 = 9区画なので、両端を含めて根太は10本です。
杉 30 × 105 mm(すき間5 mm)を脳天打ちする場合。 1列あたり110 mmで、奥行き2.7 mには25列(最後の列は縦挽き)です。交点は25 × 10 = 250か所、ビスは交点ごとに2本で500本です。デッキビス計算ツールでも同じ結果になります。
人工木 145 mm(すき間5 mm)を専用クリップで留める場合。 1列あたり150 mmで、2,700 ÷ 150 = 18列です(18枚と17のすき間で2,695 mm)。
| 方式 | 数え方 | このデッキでの数量(予備を含まない) |
|---|---|---|
| 杉 30 × 105 mmを脳天打ち | 25列 × 根太10本 × 2本 | ビス500本 |
| 人工木 145 mmを脳天打ち | 18列 × 根太10本 × 2本 | ビス360本 |
| 人工木 145 mmを専用クリップ | 目地17か所 × 根太10本 | クリップ170個 + 両端の板のビス40本 |
クリップの数は、RESTAが示している「(床板枚数 − 1)×(根太の本数)」という数え方です(RESTA:人工木ウッドデッキの材料の揃え方)。両端の2列は根太ごとに2本ずつビス留めするので、2 × 10 × 2 = 40本です。50個入りのセットなら170 ÷ 50 = 3.4で、4セット(200個)を購入します。当サイトの計算ツールは交点(床板と根太が交わる点)ごとに1個として数えるため、少し多めの数字になります。予備込みの目安として使ってください。
突き付けの継ぎ目がある場合は、継ぎ目の両側でそれぞれ固定するため、留め具が増えます。ルチアウッドの長さは1,995 mmなので、3.6 mの列は1枚では張れず、継ぎ目の下に根太の追加が必要です。継ぎ目まで含めた数量はウッドデッキ材料計算ツールで確認できます。
根太ピッチで数量が変わる
留め具の数は根太の本数に比例します。同じ杉のデッキで根太ピッチを400 mmから300 mmに狭めると、根太は10本から13本に増え、ビスは500本から650本になります。斜め張りでは根太ピッチを狭くするのが一般的です。ピッチの決め方は根太ピッチのガイドをご覧ください。
費用:差を生む要因
留め具の価格は製品や購入先で大きく異なるため、このガイドでは金額を示しません。次の3点を購入先で確認して比べてください。
- ビスの箱、クリップのセットの1単位あたりの価格と入り数。
- 上の計算から求めた必要な単位数(予備を5%程度加える)。
- 専用クリップがデッキ材とセットでしか使えないかどうか。
交点1か所あたりで見ると、クリップはビス2本より高くつくのが普通です。とはいえ、デッキ全体の費用に占める留め具の割合は、デッキ材や下地に比べて小さいことがほとんどです。日本の施工費の相場はウッドデッキの費用内訳とデッキ費用計算ツールで確認できます。
手間と施工時間
脳天打ちは、デッキ材を置き、スペーサーですき間をとり、下穴をあけて根太ごとにビスを2本打つだけです。根太の位置に墨を打っておけば、ビスの列がまっすぐそろいます。天然木では下穴あけの工程が加わるため、皿取錐付きのビットとインパクトドライバーを2台用意すると作業が速くなります。
専用クリップは、張ったデッキ材の溝にクリップをはめ、次のデッキ材を押し当て、クリップをビスで留める作業を繰り返します。張り始めと張り終わりの板は別の方法で留める必要があり、ビスを打つ位置も決まっています。また、デッキ材どうしがかみ合っているため、デッキの中ほどの1枚を交換するのにも手間がかかります。
見た目と長期的な挙動
- 脳天打ちはビスの頭が列になって見えます。天然木なら塗装でなじみ、皿取りして少し沈めると目立ちにくくなります。
- 専用クリップはすっきりした床面に仕上がります。これがお金をかける一番の理由です。上面にビス穴ができないため、水がたまる穴もありません。
- 伸縮: 人工木は温度によって伸び縮みします。ルチアウッドでは長手方向にも5〜7 mm程度、建物などの構造物からも7 mm程度のすき間を設けるよう指示されています(リーベ プロ)。クリップは、このすき間を保ちながら固定できるよう設計されています。
どちらを選ぶか
- 杉の防腐注入材や米杉で予算を抑えたい場合: ステンレスのコーススレッドで脳天打ち。
- ウリンなどのハードウッド: 下穴をあけてハードウッド用のビスで脳天打ち。
- 溝付きの人工木デッキ材: その製品の専用クリップ。両端の板、階段は施工説明書どおりにビスで留めます。
- 補修やデッキ材の交換を重視する場合: 脳天打ちがもっとも外しやすい方法です。
どれを選ぶにしても、デッキ材メーカーがその製品に指定している留め具を使ってください。人工木デッキ計算ツールでは、デッキ材と留め具をまとめて見積もれます。
よくある質問
同じデッキで専用クリップとビス留めを併用できますか?
できます。実際、人工木のデッキでは併用が普通です。メインの床面をクリップで留め、張り始めと張り終わりの板、階段の踏み板などをビスで留めます。見えるビスは、デッキ材の色に合ったものを選ぶとなじみます。
専用クリップは1 m²あたり何個必要ですか?
幅145 mmの人工木をすき間5 mm、根太ピッチ400 mmで張る場合、1 m²あたり約6.7列 × 約2.5本の根太で、交点はおよそ17か所です。クリップは交点とほぼ同じ数が必要です。上の3.6 × 2.7 m(9.72 m²)の例では170個で、1 m²あたり約17.5個でした。根太ピッチを狭くすると増えます。
杉やウリンなどの天然木に隠し留め具は使えますか?
国内で一般的な専用クリップは、溝付きの人工木デッキ材用です。天然木のデッキ材は溝がないものがほとんどなので、脳天打ちが基本になります。溝加工したハードウッド用の金具を用意している販売店もあるため、使う場合は販売店の施工方法に従ってください。
脳天打ちは専用クリップより強度が劣りますか?
施工説明書どおりに取り付けたデッキなら、問題になるような差はありません。天然木のデッキ材を交点ごとに2本のビスで留めるのは、国内の施工ガイドでも一般的な方法です。大切なのは、ステンレスなど屋外に適したビスを使い、下穴をあけて割れを防ぐことです。