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下地と構造

デッキ用防腐防蟻処理材の選び方|K区分・薬剤・金物

ウッドデッキ用の防腐防蟻処理材(加圧注入材)の選び方。JASの性能区分K1〜K5、タナリスCYやACQなどの薬剤、切断面の処理、腐食しにくい金物の選び方を解説します。

更新 · 約1分で読めます · Free Deck Board Calculator編集部 · 調査方法について

ウッドデッキに使う防腐防蟻処理材(加圧注入材)は、設置環境に合ったものを選ぶ必要があります。屋外で風雨に直接さらされるデッキ材や下地には、JAS(日本農林規格)の性能区分でK4相当の処理材が目安です。束や大引のように地面に近く、湿ったままになりやすい部材、交換が難しい部材ほど、処理の確かさが大切になります。切断した面には防腐剤を塗り直し、金物やビスにはステンレスを使ってください。現在主流の銅系の薬剤は、亜鉛めっきなどの鋼材を腐食させやすいためです。

このガイドでは、性能区分の読み方、デッキのどこに何を使うか、防腐防蟻処理材に関する金物の注意点を解説します。

「防腐防蟻処理材」とは

国内のデッキ用の処理材は、杉や桧などの国産材、SPFなどの輸入材に、密閉した釜の中で圧力をかけて薬剤を注入したものです。表面に塗るだけの処理と違い、薬剤が木材の内部まで浸透するため、腐朽菌やシロアリに長く耐えます。

デッキ材でよく使われる薬剤は次のとおりです。

  • タナリスCY。 酸化第二銅とシプロコナゾールを有効成分とする銅系の水溶性薬剤で、処理すると淡い緑色になります(mock re::タナリスCY)。リーベの国産杉デッキ材などに使われています(リーベ)。
  • ACQ。 アルキルアンモニウム化合物系の薬剤(AAC)に銅化合物を加えたもので、注入した木材は緑がかった色に仕上がります(リーベ:ACQ防腐注入木材)。
  • 銅を含まない薬剤。 AACのように銅を含まない薬剤もあります。

薬剤の種類を自分で細かく選ぶ必要はありません。デッキで重要なのは、その材がどの環境向けに、どの程度まで処理されているかです。

性能区分と表示の読み方

製材の日本農林規格(JAS)では、保存処理の性能区分をK1〜K5に分け、区分ごとに薬剤の浸潤度と吸収量の基準を定めています(製材の日本農林規格)。国土交通省のサイトに掲載されている屋外階段のガイドライン事例集では、各区分の要求性能を次のように整理しています(木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン事例集)。

区分要求性能デッキでの目安
K1屋内の乾燥した場所で、乾燥害虫への防虫性能のみが必要使わない
K2低温で腐朽や蟻害のおそれが少ない条件下で高度の耐久性寒冷地の雨の当たらない部材
K3通常の腐朽や蟻害のおそれがある条件下で高度の耐久性土台など。屋根の下の部材
K4通常より激しい腐朽や蟻害のおそれがある条件下で高度の耐久性風雨にさらされるデッキ材、根太、大引、束
K5極度に腐朽や蟻害のおそれのある環境下で高度の耐久性地面に埋める杭など

「デッキでの目安」の列は、要求性能からの当サイトの整理です。区分の数字が大きいほど、薬剤の浸潤度や吸収量の基準が厳しくなります。林野庁の報告書でも、屋外の木製デッキにK4相当の処理材を使った例が紹介されています(林野庁:外構部等の木質化)。

購入時は、商品の説明や材に付いた表示で次の点を確認しましょう。

  • JASの保存処理の表示(K3、K4などの性能区分)、または日本住宅・木材技術センターの**優良木質建材等認証(AQ)**の表示。AQには保存処理材や屋外製品部材などの品目があります(HOWTEC:AQ認証製品一覧)。
  • 薬剤の種類(タナリスCY、ACQなど)。
  • 樹種と寸法(杉30 × 105 mmなど)。

表示が見当たらない場合は、販売店に性能区分や処理方法を問い合わせてください。

デッキのどこに何を使うか

部位おすすめ理由
束K4相当の処理材、鋼製束、ハードウッド地面に最も近く、湿気とシロアリの影響を受けやすい
大引・根太K4相当の処理材、ハードウッド、鋼製・アルミの下地デッキ材を張った後は交換が難しい
デッキ材K4相当の処理材、米杉、ハードウッド、人工木風雨と紫外線に直接さらされる
幕板・手すりデッキ材と同等雨がかかり、木口から水を吸う

地面に近い部材は特に注意する

デッキの下は湿気がこもりやすく、ごみや落ち葉がたまると乾きにくくなります。地面との間が狭い低いデッキ、幕板で周囲をふさいだデッキ、植栽に囲まれたデッキでは、下地が長く湿った状態になります。リーベは、幕板は飾りとして付け、下を完全にふさがないよう注意しています(リーベ:ウッドデッキの張り方)。束を束石に載せて木口を地面から離し、デッキの下に風が通るようにしましょう。シロアリの被害が心配な地域では、鋼製束や樹脂・アルミの下地を選ぶのも一つの方法です。

現場での切り口

薬剤は木材の深部まで浸透しないため、処理は加工の後に行うのが原則です。国土交通省掲載の事例集では、やむを得ず処理材を加工する場合、加工後に露出した薬剤が浸透していない部分に、工場または現場で薬剤を散布や塗布することが不可欠だとしています(事例集)。タナリスCYの処理材でも、切断面に改めて防腐塗料を塗布することが推奨されています(mock re:)。

デッキでは、カットしたデッキ材の木口、根太や大引の端部、束の下端、ボルト穴などが該当します。刷毛でたっぷりと塗り、しみ込ませてください。

材の選び方

デッキ材や根太は、強度だけでなく、反りや割れの少なさも大切です。ホームセンターや材木店で選ぶときのポイント:

  • 1本ずつ材の端から見通す。 根太には、幅方向の曲がりが強い材を避けるか、すべての材のむくりを同じ方向(上向き)にそろえます。
  • 大きな抜け節を避ける。 根太の縁付近やデッキ材の中央にあるものは特に注意します。
  • 含水状態を確認する。 加圧注入材は処理後に湿った状態で出荷されることがあり、乾燥とともに主に幅と厚さ方向に縮みます。湿ったデッキ材をすき間なしで張ると、乾燥とともにすき間が開きます。すき間の取り方はデッキ材のすき間ガイドをご覧ください。

金物とビス

銅系の薬剤で処理した木材は、金物を腐食させやすくなります。日本鉄鋼連盟の資料では、銅を含む薬剤で処理した木材が水分を含むと、銅イオンとの接触によって亜鉛やアルミニウムが溶け出し、めっき鋼板や塗装鋼板が急激に腐食するとしています(日本鉄鋼連盟:防腐・防蟻処理木材との接触腐食)。国土交通省掲載の事例集でも、加圧注入した木材に接触させた溶融亜鉛めっき鋼板に赤錆が生じた試験結果を紹介し、亜鉛めっき鋼材と処理木材の直接の接触を避ける対策が必要だとしています。

実践的なルールは次のとおりです。

  • ビス: ステンレスのコーススレッドが基本です。リーベの施工ガイドでもステンレスのコーススレッドを使い、下穴をあけてから打つよう勧めています。デッキ材の本数はデッキビス計算ツールで見積もれます。
  • 金物: 束と大引を留める金物、根太の接合金物、ボルトは、ステンレス製を選ぶのが安心です。亜鉛めっきの金物を使う場合は、処理木材と直接触れないよう、メーカーが処理木材との併用を認めた製品や、腐食を防ぐ被膜のある製品を選んでください。
  • 海の近く: 塩分の多い環境では腐食が早く進みます。ステンレスの中でも耐食性の高いグレードを選び、販売店に相談してください。
  • 金属を混用しない。 異なる金属が接すると、電位差で一方が腐食することがあります(異種金属接触腐食)。ステンレスの金物にはステンレスのビスを組み合わせましょう。

処理材の注文

一般的なデッキでの妥当な注文内容は次のとおりです。

  1. 束: K4相当の処理材(90 × 90 mmの角材など)、または鋼製束。
  2. 大引・根太: K4相当の処理材、またはハードウッド。ウッドデッキ下地計算ツールで根太と大引の本数を数え、根太ピッチのガイドでピッチの選び方を確認しましょう。
  3. デッキ材・幕板: K4相当の処理材(杉30 × 105 mmなど)。
  4. 金物・ビス: ステンレス製。
  5. 切断面用の防腐剤: 処理材の色に合ったもの。

木材計算ツールは、ツーバイ材のリストを本数と材積に変換します。不良品や切断ミスに備えて、予備を数本加えておきましょう。このサイトは一般的な情報を提供するもので、構造設計の助言ではありません。高さのあるデッキや屋根付きのデッキは、施工業者や建築士に確認してください。

よくある質問

デッキにはK3とK4のどちらの処理材を使えばよいですか?

屋根のない屋外で風雨に直接さらされるデッキには、K4相当が目安です。K3は通常の腐朽や蟻害のおそれがある条件向けで、土台などに使われます。地面に近い束や大引、交換が難しい根太には、より確実な処理の材を選ぶほうが安心です。

防腐防蟻処理材の切り口にも処理が必要ですか?

必要です。薬剤は材の深部まで浸透しないため、切断面や穴から処理されていない部分が露出します。国土交通省掲載の事例集でも、加工後に露出した部分への薬剤の散布や塗布を不可欠としています。束の下端や、湿ったままになる端部には特に注意してください。

防腐防蟻処理材にはステンレスのビスが必須ですか?

法令で一律に決まっているわけではありませんが、銅系の薬剤で処理した木材は、亜鉛めっきなどの鋼材を腐食させやすいことが試験で示されています。屋外のデッキでは、ステンレスのビスと金物を使うのがもっとも確実です。

処理材が緑色で湿っているのはなぜですか?

タナリスCYなどの銅系の薬剤で処理した材は、淡い緑色になります。また、処理後まもなく出荷された材は、工程の水分をまだ含んでいることがあり、乾燥とともに縮みます。塗装する場合は十分に乾かしてから塗りましょう。塗装できる状態の見分け方はウッドデッキの塗装ガイドで解説しています。