ウッドデッキの階段を作るには、デッキ面から下の着地面までの総高さを測り、それを等しい高さの蹴上げに分け、上り下りしやすい奥行きの踏面を確保します。そのうえでささら桁を切り出し、踏み板の素材に合った間隔で並べ、下端をしっかりした着地部分に据えます。計算自体は簡単です。使いにくい階段や危ない階段になる原因の多くは、段ごとに違う蹴上げ、最下段だけ低い段、踏み板に対して広すぎるささら桁の間隔といった細かな点です。
このガイドでは、現場での手順に沿って割り付けを説明します。屋外のウッドデッキの階段に特化した国の基準は見当たらないため、建築物の階段の規定(建築基準法施行令)と、住宅性能表示制度の基準を目安として使います。高さのあるデッキや2階につながる階段は、施工業者や自治体の建築指導担当に確認してから計画してください。
階段の割り付けの目安になる基準値
| 項目 | 基準・目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 蹴上げの高さ | 住宅の階段で230 mm以下 | 建築基準法施行令第23条 |
| 踏面の奥行き | 住宅の階段で150 mm以上 | 建築基準法施行令第23条 |
| 階段の幅 | 住宅の階段で750 mm以上 | 建築基準法施行令第23条 |
| 踊り場 | 高さ4 mを超える階段では4 m以内ごとに設ける | 建築基準法施行令第24条 |
| 手すり | 階段には手すりを設ける。高さ1 m以下の部分には適用しない | 建築基準法施行令第25条 |
| 上りやすさ(高齢者等配慮) | 550 mm ≦ 踏面 + 2 × 蹴上げ ≦ 650 mm、蹴上げ ÷ 踏面 ≦ 6/7 | 住宅性能表示制度(等級4) |
施行令の条文はe-Govの建築基準法施行令で確認できます。上りやすさの式は、住宅金融支援機構の【フラット35】技術基準(高齢者等配慮対策等級4)に掲載されている住宅内の階段の基準です。
施行令第23条の値は建築物としての最低限の寸法で、蹴上げ230 mm・踏面150 mmの階段はかなり急です。屋外では雨で滑りやすく、サンダルで上り下りすることも多いため、蹴上げは低めに、踏面は広めにするのがおすすめです。ウッドデッキ階段計算ツールは、日本語のページでは蹴上げ230 mm以下、踏面150 mm以上を満たしているかをチェックします。
米国の資料では蹴上げ最大7-3/4インチ(約197 mm)、踏面最小10インチ(約254 mm)という値をよく見かけますが、これは米国の住宅基準の値です。
ステップ1:総高さを正しく測る
総高さとは、仕上がったデッキ面の上端から、最下段が着地する仕上がり面の上端までの垂直距離です。建物の際でのデッキの高さではありません。庭は建物から離れるほど下がっていることが多く、階段の終わる位置では数十mm低くなっていることがあります。
確実な測り方は次のとおりです。
- まっすぐな板か水平器をデッキ面から突き出し、最下段が着地する位置より先まで伸ばします。
- 水平にしてから、地面または予定している土間コンクリートや平板の上端まで真下に測ります。
- 土間を打つ場合や平板を敷く場合は、土ではなく、その仕上がり面まで測ります。
階段の総踏面長は総高さで決まり、総高さは階段の終わる位置で決まります。そのため、見当をつけて測り、一度測り直す必要があるかもしれません。
ステップ2:蹴上げと踏面を割り出す
総高さを、自分で決めた蹴上げの最大高さで割り、切り上げます。これが蹴上げの段数です。次に総高さをその段数で割り、実際の蹴上げの高さを求めます。デッキ面が最上段になるため、踏面は蹴上げより1つ少なくなります。
計算例:総高さ450 mm、蹴上げの最大200 mmの場合
- 450 ÷ 200 = 2.25なので、切り上げて蹴上げ3段。
- 450 ÷ 3 = 1段あたり150 mm。
- 踏面は2か所。
- 杉30 × 105 mmのデッキ材2枚をすき間5 mmで並べると踏面は215 mmで、総踏面長は430 mm。
施行令第23条の蹴上げ230 mmを上限にすると、450 ÷ 230 = 1.96で蹴上げ2段(225 mm)、踏面1か所で済みます。基準は満たしますが、踏面215 mmなら215 + 2 × 225 = 665 mmで、上りやすさの目安(550〜650 mm)を超える急な階段です。
逆に蹴上げ150 mm・踏面215 mmでは、215 + 2 × 150 = 515 mmで、目安より小さくなります。歩幅に対して踏面が狭い状態です。デッキ材を3枚にして踏面を325 mmにすると、325 + 2 × 150 = 625 mmで目安に収まります。その代わり総踏面長は650 mmに延びるので、庭のスペースと相談して決めましょう。
| 総高さ | 蹴上げ | 踏面(デッキ材の枚数) | 踏面+2×蹴上げ | 総踏面長 |
|---|---|---|---|---|
| 450 mm | 150 mm × 3段 | 215 mm(2枚) | 515 mm | 430 mm |
| 450 mm | 150 mm × 3段 | 325 mm(3枚) | 625 mm | 650 mm |
| 450 mm | 225 mm × 2段 | 215 mm(2枚) | 665 mm | 215 mm |
| 600 mm | 200 mm × 3段 | 215 mm(2枚) | 615 mm | 430 mm |
| 750 mm | 187.5 mm × 4段 | 215 mm(2枚) | 590 mm | 645 mm |
ウッドデッキ階段計算ツールなら、この計算を自動で行い、側面図も表示します。
ステップ3:踏み板を選び、踏面の奥行きを決める
デッキの階段には、通常デッキ面と同じデッキ材を使います。同じ製造ロットからまとめて購入すると色がそろうので、ウッドデッキ材料計算ツールで階段の踏み板もメインのデッキ材の注文に加えておきましょう。
素材ごとの注意点は次のとおりです。
- 天然木の踏み板。 杉30 × 105 mmの防腐注入材なら、ささら桁の間隔は床の根太ピッチと同じ〜400 mmを目安にします(リーベ プロの根太ピッチ一覧)。下穴をあけ、ささら桁ごとにステンレスビスで留めます。
- 人工木の踏み板。 人工木は天然木より剛性が低く、製品ごとに支持間隔が指定されています(床では400〜600 mm以内など。RESTAの一覧)。階段用の部材や、床より狭い支持間隔が指定されていることもあるため、必ず購入する製品の施工説明書に従ってください。
- すき間。 踏み板どうしの間にも、デッキ面と同じく3〜5 mm程度のすき間を設けて水を抜きます。
- 段鼻。 踏み板を蹴込みより少し出すと上りやすくなりますが、出しすぎるとつまずきの原因になります。滑り止めの溝付きの材や、段鼻に滑り止めを付けるのも有効です。
ステップ4:ささら桁を切り出して並べる
階段を支えるのはささら桁です。デッキでよく使われるのは次の2種類です。
- 切り欠き(段型)ささら桁。 幅の広い材の上端を段の形に切り欠いたものです。2×10や2×12などのツーバイ材がよく使われます。切り欠いた後に残る部分(のど)が細くなると強度が落ちるため、十分な幅の材を選びます。米国のデッキガイドでは、のどを約127 mm以上残すよう求めており、目安になります。
- 側桁。 切り欠かない材の内側に受け木を取り付け、踏み板を載せる方法です。のどが細くならないため、長い階段に向いています。
必要なささら桁の本数
階段の幅をささら桁の間隔で割り、切り上げて1を足します。
| 階段の幅 | 間隔300 mm | 間隔400 mm | 間隔450 mm |
|---|---|---|---|
| 750 mm | 4本 | 3本 | 3本 |
| 900 mm | 4本 | 4本 | 3本 |
| 1,200 mm | 5本 | 4本 | 4本 |
切り欠きささら桁の墨付け
差し金を使い、蹴上げと踏面の寸法(この例では150 mmと215 mm)で各段を墨付けしたら、次の2点を調整します。
- 下端を詰める。 ささら桁の下端を、踏み板1枚の厚さ分だけ短く切ります。そうしないと、最初の段だけその分高くなってしまいます。墨付けでもっとも多いミスです。
- 上端の取り付け方を決める。 デッキ面を最上段とするのか、最上段の踏み板を蹴上げ1段分下げて設けるのかを決め、それに合わせて上端を墨付けします。
総高さ450 mm・踏面215 mmの例では、計算ツールのささら桁の長さは約787 mm(下端で荷重を受けるための踏面1段分を含む)で、2 mの材料から2本取れます。まず1本を切り出して仮合わせし、それを型にして残りを切りましょう。
ステップ5:上端を固定し、下端を支える
上端は、デッキの端根太や大引にボルトや金物でしっかり固定します。ビスを斜め打ちするだけでは、荷重や揺れで抜けるおそれがあります。
下端は、沈下しない、しっかりした支持が必要です。
- 表土を取り除いて砕石を突き固め、束石や土間コンクリートの上にささら桁を据えます。ささら桁の木口を直接土に触れさせないでください。
- 寒冷地では、凍上で着地部分が持ち上がり、階段がゆがむことがあります。凍結深度の考え方はデッキの基礎と凍結深度のガイドで解説しています。
- 地面に近いささら桁は腐朽やシロアリの被害を受けやすいため、防腐防蟻の加圧注入材やハードウッドを使い、切断面には防腐剤を塗ります。性能区分の選び方は防腐処理材のガイドで説明しています。
手すりと照明
施行令第25条では、高さ1 m以下の階段の部分には手すりの規定が適用されません。地面に近い1階のデッキの階段なら、法令上は手すりが不要なことが多いですが、高齢の家族や小さな子どもがいる家庭では付けておくと安心です。住宅性能表示制度の基準では、階段の手すりを踏面の先端から700〜900 mmの高さに設けるとしています。詳しくはデッキの手すりの高さと手すり子の間隔のガイドをご覧ください。
夜に使う階段には、足元を照らす照明を付けましょう。人感センサー付きのライトなら、配線工事なしで設置できる製品もあります。
このガイドは一般的な施工方法を説明するもので、構造設計の助言ではありません。高さのあるデッキの階段や、屋根付きのデッキ(建築物として扱われる場合があります)に付ける階段は、施工業者や自治体に確認してください。
よくある質問
高さ450 mmのデッキには何段の階段が必要ですか?
蹴上げを200 mm以下にするなら、150 mmの蹴上げが3段、踏面が2か所です。施行令第23条の上限230 mmなら蹴上げ225 mmの2段にもできますが、急な階段になります。上りやすさを重視するなら蹴上げ150 mmの3段とし、踏面を300 mm前後に広げるのがおすすめです。
デッキの階段に建築基準法は適用されますか?
床だけのウッドデッキは一般に建築物に当たらないとされ(建築基準法第6条の確認申請も不要とされることが多い)、その階段に施行令の階段の規定がそのまま適用されるかはケースによります。それでも、蹴上げ230 mm以下・踏面150 mm以上は安全な階段の最低限の目安です。屋根を付けるなど建築物として扱われる場合は、自治体に確認してください。
人工木の踏み板では、ささら桁の間隔はどれくらいにすべきですか?
製品の施工説明書に従います。床の根太ピッチは製品ごとに400〜600 mm以内などと指定されていますが、階段では別に狭い間隔が指定されていることがあります。天然木の杉30 mmなら〜400 mmが目安です。
階段の踏み板1段にデッキ材は何枚必要ですか?
幅105 mmのデッキ材をすき間5 mmで並べると、2枚で215 mm、3枚で325 mmです。上りやすさの目安(踏面+2×蹴上げ=550〜650 mm)から考えると、蹴上げ150 mmなら3枚、蹴上げ200 mmなら2枚がちょうどよい組み合わせです。