ウッドデッキの基礎の大きさは、3つの要素で決まります。束1本が負担するデッキの面積(負担面積)、デッキにかかる荷重、そして地盤が支えられる重さです。深さは別の問題で、しっかりした地盤まで届いていること、寒冷地では冬に地面が凍る深さ(凍結深度)より深いことが求められます。
日本には、ウッドデッキの基礎について国が定めた専用の技術基準は見当たりません。束や大引の間隔はデッキ材や下地材の製品ごとの施工説明書で指定されていることが多く、建築物の基礎の規定(建築基準法施行令第38条と平成12年建設省告示第1347号)が参考になります。このガイドは構造設計ではなく計画のための情報です。高さのあるデッキ、屋根付きのデッキ、軟弱な地盤では、施工業者や建築士に相談してください。
基礎が見た目以上に重要な理由
基礎は、デッキが完成すると二度と目にしない部分であり、最も直しにくい部分でもあります。小さすぎる基礎や、ほぐれた土の上に置いた束石は沈下して、デッキが傾いたり床がたわんだりします。凍結深度より浅い基礎は、地面が凍ると凍上してデッキの一部を持ち上げることがあります。デッキが建物に接していれば、その動きが外壁や掃き出し窓まわりに影響します。日本で建物に固定しない独立型のデッキが多いのは、こうした影響を避けるためでもあります。
ステップ1:負担面積を求める
負担面積とは、その重さが最終的に1本の束にかかるデッキ面の範囲です。根太が前後2本の大引に載る独立型のデッキでは、大引の各束が負担するのは次の範囲です。
- 大引と大引の間の根太スパンの半分(+大引より外に張り出す部分)×
- 両隣の束までの距離の半分ずつ
例:2.7 × 1.8 mの独立型デッキ。 大引を前後の端から100 mm内側に1本ずつ置くと、大引の間は1.6 mです。束の間隔を最大900 mmにすると、ウッドデッキ下地計算ツールの結果は大引1本あたり束4本、合計8本で、束の間隔は900 mmになります。
| 束 | 大引方向の負担 | 奥行き方向の負担 | 負担面積 |
|---|---|---|---|
| 中間の束 | 0.45 m + 0.45 m = 0.9 m | 0.8 m + 0.1 m = 0.9 m | 0.81 m² |
| 角の束 | 0.45 m | 0.9 m | 0.405 m² |
根太や大引の張り出しがあると、最も近い束の負担面積が増えます。張り出し分も負担範囲に含めてください。
束の間隔は自由には決められません。mock re:の作り方ガイドでは束の間隔を900〜1,200 mm程度としており(mock re:)、人工木の製品には「束ピッチ600 mm以内」と指定しているものもあります(RESTAの一覧)。大引の断面が小さいほど、また人工木や鋼製の下地では製品の指定値ほど、束の間隔は狭くなります。
ステップ2:基礎の形と大きさを決める
束石を据える方法
日本のDIYで最も一般的なのは、市販の束石(羽子板付き束石、ピンコロ、鋼製束用のベースなど)を据える方法です。mock re:のガイドでは、地面を締め固めて砕石や砂を敷き、軟らかい地盤ではモルタルで束石を固定する手順が紹介されています。束石の底面が広いほど荷重が分散され、沈下しにくくなります。
ポイントは次のとおりです。
- 表土や草の根を取り除き、しっかりした地盤まで掘る。
- 砕石を敷いて突き固め、束石の天端の高さを水糸でそろえる。
- 雨水が束石の周りにたまらないよう、地面に勾配をつけるか防草シートと砂利で仕上げる。
コンクリートを打設する方法
高さのあるデッキ、大きな負担面積、寒冷地では、穴を掘ってコンクリートの独立基礎を打設したり、ボイド管(紙製の円筒型枠)で柱状の基礎を作ったりします。基礎の大きさは負担面積と地盤によって変わります。日本にはウッドデッキ用の基礎の大きさの表がないため、メーカーの施工説明書の値を使うか、施工業者や建築士に確認してください。盛土、粘土、水はけの悪い場所では特に注意が必要です。
ステップ3:深さを決める
建築物の基礎の規定を参考にする
建築物の場合、告示第1347号では、根入れの深さを布基礎で24 cm以上、べた基礎で12 cm以上とし、かつ凍結深度より深くするよう定めています(福島県:凍結深度と建築物の基礎の設計)。床だけのウッドデッキは一般に建築物に当たりませんが、凍上を避けるという考え方はそのまま当てはまります。
凍結深度は地域ごとに違う
凍結深度は全国一律ではありません。福島県は、凍結深度は標高、気象条件、地形、地質、地下水位、積雪量などで異なるため、一律に地域ごとの数値や計算式を定めていないと説明しています。北海道は市町村ごとの標準的な値を公表しており、例は次のとおりです(北海道:凍結深度)。
| 市町村 | 凍結深度 |
|---|---|
| 函館市 | 50〜70 cm(旧市町村により異なる) |
| 札幌市 | 60 cm |
| 旭川市 | 80 cm |
| 釧路市 | 90〜100 cm(旧市町村により異なる) |
| 帯広市 | 100 cm |
| 置戸町、陸別町など | 120 cm |
道内では50 cmから120 cmまで幅があり、同じ市内でも条件によって変わります。東北や北陸、内陸の高地なども含め、寒冷地では掘り始める前に市区町村の建築指導担当か地元の施工業者に地域の値を確認してください。温暖な地域では凍上の心配はほとんどありませんが、ほぐれた土や盛土の上に束石を置かず、締め固めた地盤で支えることが大切です。
独立型デッキ
日本のウッドデッキは、建物に固定せず束と大引で自立させる独立型が一般的です。建物と別々に動いても外壁を傷めにくいのが利点ですが、凍上で束が持ち上がると床が傾き、掃き出し窓との段差が変わることがあります。寒冷地では独立型でも基礎の深さを検討しましょう。長所と短所は根太掛け固定と独立型の比較ガイドで詳しく解説しています。
ステップ4:コンクリート量を見積もる
基礎の形状が決まれば、コンクリート量は簡単な幾何学で求められます。
- 丸形: 体積 = 3.1416 ×(直径 ÷ 2)² × 深さ
- 角形: 体積 = 一辺 × 一辺 × 深さ
1 m³は1,000 Lです。袋入りのインスタントコンクリートは、袋に「出来上がり量(練り上がり量)」が書かれているので、その値で割って袋数を求めます。製品や袋の重さで異なるため、以下では出来上がり量10 Lの袋と仮定して計算します。
計算例:2.7 × 1.8 mのデッキの基礎8か所
案A:温暖な地域で、300 mm角・深さ200 mmのコンクリートの上に束石を据える。 1か所あたり0.3 × 0.3 × 0.2 = 0.018 m³(18 L)です。8か所に割増10%を加えると約0.158 m³(158.4 L)で、10 Lの袋なら16袋です。
案B:札幌市(凍結深度60 cm)で、直径200 mmのボイド管を深さ700 mmまで打設する。 1か所あたり3.1416 × 0.1² × 0.7 = 約0.022 m³(22 L)です。8か所に割増10%を加えると約0.194 m³(193.5 L)で、20袋です。
参考:帯広市(凍結深度100 cm)で同じ直径200 mmを深さ1,100 mmにすると、 1か所あたり約34.6 Lになります。
デッキ全体ではこの差がすぐに大きくなります。打設量が多い場合は、袋を練るより生コンを配送してもらうほうが早いこともあります。ロス、大きめに掘れた穴の分として、1〜2袋多めに用意しましょう。ウッドデッキ基礎計算ツールでは、この計算を基礎の数ごとに行えます(m³とリットルで表示し、フィートやヤードでも入力できます)。
束の接合
基礎は束を上下方向だけでなく横方向にも保持する必要があります。羽子板付き束石なら羽子板の金物に束をボルトやビスで固定し、鋼製束ならベースを束石やコンクリートにアンカーで固定します。束同士を根がらみでつなぐと、横揺れに強くなります。
木製の束は、木口が直接コンクリートや土に触れないようにして水はけを確保します。地面に近い部材は腐朽やシロアリの被害を受けやすいため、防腐防蟻の加圧注入材やハードウッドを使いましょう。JAS(製材の日本農林規格)は保存処理の性能区分をK1〜K5で定めており、数字が大きいほど薬剤の浸潤度や吸収量の基準が厳しくなります(製材の日本農林規格)。林野庁の補助事業の報告書では、屋外の木製デッキにK4相当の処理材を使った例が紹介されています(林野庁:外構部等の木質化)。等級の選び方は防腐処理材ガイドで解説しています。
掘削の実践的なコツ
- 掘る前に埋設物を確認する。 ガス管、水道管、排水管、電気の配線が庭に埋まっていることがあります。家の配管図を確認し、分からなければガス会社や水道の指定工事店、住宅の施工会社に問い合わせてください。
- 目分量ではなく、遣り方と水糸で位置を出す。 束の位置が数cmずれると、大引の長さや根太の割り付けが狂います。
- 穴の底は平らにして突き固める。 穴の底に残ったほぐれた土は沈下の原因になります。
- 束石の天端の高さをそろえる。 鋼製束を使えば最後に高さを微調整できますが、大きな狂いは基礎の段階で直しておきましょう。
- 穴が数か所以上なら、穴掘り用の道具をレンタルする。 石や木の根に当たることも想定しておきましょう。
基礎がデッキ全体の費用に占める割合は通常それほど大きくありませんが、手間はかかります。予算全体の中での位置づけは、ウッドデッキの費用内訳をご覧ください。
よくある質問
ウッドデッキの基礎はどれくらいの深さが必要ですか?
温暖な地域では、表土を取り除いてしっかりした地盤に砕石を突き固め、束石を据える方法が一般的です。寒冷地では凍結深度より深くするのが基本で、北海道では札幌市60 cm、旭川市80 cm、帯広市100 cmなど地域ごとに値が公表されています。地域の値は市区町村の建築指導担当か施工業者に確認してください。
ウッドデッキの束にはどれくらいの大きさの基礎が必要ですか?
束の負担面積、デッキの荷重、地盤の強さによって決まります。日本にはウッドデッキ専用の基礎の表が見当たらないため、デッキ材や下地材の施工説明書の束の間隔に従い、軟弱な地盤や高さのあるデッキでは専門家に相談してください。2.7 × 1.8 mのデッキで束を900 mm間隔にすると、中間の束の負担面積は約0.81 m²です。
基礎1か所あたりコンクリートは何袋必要ですか?
基礎の体積をリットルで求め、袋に書かれた出来上がり量で割ります。300 mm角・深さ200 mmなら18 Lで、出来上がり量10 Lの袋なら2袋です。直径200 mm・深さ700 mmのボイド管なら約22 Lで3袋です。
コンクリートを打設せずに束石だけで大丈夫ですか?
地盤がしっかりしていて凍上の心配がない地域の、低く小さなデッキなら、砕石を突き固めた上に束石を据える方法が広く使われています。寒冷地、盛土や軟らかい地盤、高さのあるデッキ、屋根付きのデッキでは、より深くしっかりした基礎が必要になることがあります。施工説明書と地域の条件を確認してください。